運命のヒト
やっぱり、号泣したんだな・・・。


俺の思った通り、水嶋の目は赤く
腫れていた。

だけど、健二も俺もそのことには
触れなかった。


こんな近くにいるのも、言葉を交わすのも
別れたあの日以来なのに、不思議と俺達は
普通でいられた。

いつ自分の気持ちを伝えようかとか、
どういう風に切り出そうかとか、
焦りは全くなかった。


ただ一緒にいられることが嬉しくて
たまらなかった・・・。


「写真撮ろうぜぇ~!!」

「え?」
「はぁ!?」

俺と水嶋の声がかぶった。

ありえねぇんだけど・・・。


「中学最後だろ??
 思い出作りだっつ~の!!」

思い出作りって・・・。

「お前、アホだな・・・」

笑えた。

何だよ、思い出作りって。




「優士、カメラ貨せ!!」

「俺の・・・?」

俺がそう言いながらカメラをポケットから
取り出すと、健二が一瞬でそれを奪い、
俺と水嶋を激写した。

「おい!!」

撮るんなら、そんな撮り方じゃなくて
もっとちゃんと・・・。



「じゃ、撮るぞ!二人とも並べ並べ~!!」

今度はちゃんと撮ってくれるみたいだな。


てか、2ショットって何気に照れるん
やけど・・・。

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