運命のヒト
「あいつ、やっぱり・・・」

もう、俺と一緒にいたくないんやな・・・
そう言いかけて止めた。


きっと、認めたくなかったんだ。

「優士、いいんか?」

健二が心配そうに呟いた。

「いいも何も・・・。あいつは俺とは・・・」

やっぱり、その先を言うのは止めた。


「健二、ありがとな?」

「何がだよ・・・」

分かってるくせに・・・。


「あいつと写真撮れるとか思って
 なかったわ。マジでありがとうな」

「別に俺は・・・。
 んな、たいしたことしてないし・・・」

お前にはいつもいつも助けられて
ばかりだった。

俺はお前に甘えてばかりだった。


・・・俺、健二と腐れ縁でよかった。


俺がそうしみじみしていると、

「まぁ、会おうと思えばいつでも
 会えるしな!!」

健二が笑顔でそう言ってくれた。

「だな・・・」


そう言ったものの、俺はあいつに
会えるんだろうか?

心の中でそう思った。


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