運命のヒト
「結構、かわいいとか言っとる奴多いけど、
 俺はあんまりやな・・・」

俺は一瞬、止まってしまった。


そういう健二は明らかに動揺していた。

やっぱ、バレてたのか?と思った。

だけど、健二はいつものように聞いてきた。


「で、その水嶋がどうかしたんか?」

「実は、俺、水嶋のことが好きなんや・・・」

俺は自分の気持ちを正直に話した。

健二は、はぁ??ってびっくりして大きな声を出した。


「好きって、お前には美鈴がおるだろ?」

「俺、神田とは別れようと思っとる。
 神田のこと好きだったけど、今は・・・。
 水嶋のことが好きやけん」

健二は呆れた顔をして、聞いてきた。


「どこがえぇんや?顔か?
 ってか水嶋って真面目な奴やろ?」

「顔とかだけで、水嶋のこと好きに
 なったわけじゃねぇよ。
 ずっと前から水嶋のこと好きだったんや」


小4の頃、水嶋のことが好きだった。

あの頃は、ただ可愛いから好きだったと思う。


だけど、神田と付き合うようになって、俺は水嶋のことスッパリ諦めた。


・・・諦めた、忘れたはずだったのに。


だけど、2年になって、同じクラスになって、水嶋を見るたびに目が離せなくなった。


思えば、あの時から、ずっと好きだったのかもしれない。


忘れられていなかったのかもしれない。


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