運命のヒト
「んで、まだ帰らんのか?」


靴を履き替え、そこに立ち止まってる俺を見て健二が言った。

「ん~、水嶋のことちょっと心配やし、
 あいつが帰るまで待っとこうかと
 思って・・・」

「だったら、俺も付き合うわ!」

健二もそう言ってくれて、俺らは、外で待つことにした。



「ってか、桃子遅ぇな・・・」

健二がブツブツ文句を言い始めた。

「だったら、帰っていいぞ!」

「うっせぇな~、待つって言ってんだろ!」


うるせぇのはお前だよ・・・。


俺らが言い争いをしてると、山田達と一緒に水嶋がやって来た。


水嶋のこと見てたら、なんか目が合ってしまったし。


・・・ってか、水嶋が俺を見てる?


何や、何や?

俺はすげぇドキドキしてきた。



「健ちゃ~ん、ちょっといい?」

水嶋は少し離れたところから、そう叫んだ。


また、健二かよ・・・。


「何や?
 ちょっと、桃子んとこ行ってくるな」


健二は少し嬉しそうな顔をして、水嶋のところに行ってしまった。

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