運命のヒト
「実はよ、奈々の弟ってタケルなんや!!」

健二がこれでもかって言いた気な顔で俺を見た。


「はぁ?
 お前の女の弟がタケル?」

「そっ!!」

「タケルって、あのK中のタケルか?」

「そうなんや~!!
 びっくりじゃねぇ??」

「まぁ・・・」


健二を見る限り、本当の話のようだ。

だからか・・・。


だから、タケルとも仲良くなってるってわけか。



「その奈々って子のこと遊びじゃねぇよな?」

俺は、それだけが心配だった。

だってな、健二、薫と別れてから、女は遊びでいいって言ってたし・・・。


「アホか!!
 タケルの姉ちゃんやのに
 遊びのわけがないだろ!!
 遊びだったら、俺、
 タケルに殺されるわ!!」

健二はそんなことを言いながら、笑ってた。

「健二、お前、今、幸せか?」

俺は、ガラにもなくそんなことを聞いた。


「まぁな~!!」

「じゃぁ、今度奈々さんに会わせろよ?」

「今度な!」


俺は、まだ半信半疑だった。

ちゃんと、この目で見ないと信じられねぇよ。

俺が見る限り、今でも健二が水嶋を見る目はすげぇ優しいから・・・。

完璧に好きな女を見る目だったから・・・。


「だからよ、優士も桃子のことがんばれよ!」

「おぅ!」


もしかしたら、健二は身を引いたのかもしれない・・・。


俺のために・・・。

< 67 / 177 >

この作品をシェア

pagetop