運命のヒト
もう、卒業まで一ヶ月ちょっとしかない。

だから、伝えないといけない。

伝えないと何も始まらないしな・・・。


隣の席を見れば、水嶋がいる。

この前、自由席替えがあった。


一回目の時は、ちょうど俺が寝坊して遅れたせいで俺と健二の席は、適当に決められてた。

もちろん、水嶋とは離れてた。


「俺らおらんかったんやけん、
 もう一回やり直せよ!!」

俺が文句を言って、無理やりやり直させた。

そして、俺は迷うことなく水嶋の横の席を選んだってわけ。


あの時、水嶋がちょっと嫌そうな顔してたのが気になったけど。

んなこと、いちいち気にしてられねぇ。


隣同士の席になると、いつも近くに感じられた。


俺の席の前は健二。

水嶋の席の前は小田。

だから、しょっちゅう4人で話していた。

給食の時は4人で騒いで・・・。


他の奴らからしたら、俺らはかなり迷惑だったと思うけど。


水嶋の牛乳はいつも俺が飲んだ。

水嶋の嫌いなものは俺が食べてやった。


毎日、授業にも出た。

俺らは一緒にいて当たり前になっていた。


いつの間にか、俺にとって水嶋は、いなくてはならない存在になっていた。

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