運命のヒト
給食の時間、小田に少しからかわれた。

水嶋が健二をからかって、二人で盛り上がっているところを見て少し嫉妬したりもした。


で、いつものように、水嶋の牛乳を飲んだ。


給食の時間が終わると、昼休み。

俺は、すぐに水嶋に声をかけた。



「早いけど、もう行くか?」

そう言って、水嶋の顔を覗き込んだ。

「そうだね」

そう言ってくれて安心した。

「じゃ、行くか!」

「うん!!」


俺達は、一緒に並んであの場所に向かった。


二人っきり・・・。

緊張してきた。

俺の心臓の音、今かなりでかいと思う。

水嶋に聞こえてるんじゃねぇかと思う。


そして、あの日のあの場所で・・・。


特に何も話しはせずに・・・。

この場所懐かしいなぁ~なんてことぐらい言い合ったけど・・・。



俺は、水嶋を真っ直ぐ見つめてこう言った。

「水嶋、ちょっと手ぇ出して」

いきなり、俺がそんなことを言ったから、案の定、水嶋は驚いている。

わけが分からないとでも言いたそうな顔で、右手を出してきた。

俺は、手が出されたことを確認すると、ポケットに手を入れ、指輪が入っている箱を取り出した。


この中には、大切な指輪が入っている。

俺が生まれて初めて買った指輪。


水嶋に着けてもらいたい。


そう言いかけるように、水嶋を見つめた。


< 94 / 177 >

この作品をシェア

pagetop