運命のヒト
「これな、ペアリングなんや」

俺はそう言って、ポケットから指輪を取り出した。

そして、俺の右手の薬指に入れた。


「ペアリング・・・?」

「そう。ずっとしとこうな・・・」

俺がそう言うと、水嶋は大きく頷いた。


そして何を思ったのか、お金はどうしたのとか言い出した。

普通、そんなこと聞かねぇだろ?

と思ったけど、それが水嶋らしいと思った。


「・・・言えねぇよ」

「えぇ~、教えてよ~」

しつこく聞いてくるから、おっちゃんのとこで働かせてもらってたことを教えてやった。


すると、何を思ったのか、いきなり抱きついてきた。

思いっきり抱きしめてくる水嶋がすげぇ愛しく感じた。


「ねぇ、私のどこが好き?」

耳元でそう聞いてきた。

「えぇ~、どこって、分かんねぇな~」

すげぇ照れ臭くて、そうごまかしてみた。

「何それ・・・」

思った通り、水嶋はすねた。


素直に態度に表してくれるのがすげぇ嬉しい。

今までは、本当の気持ちをお互いに隠してたもんな・・・。


「全部好きだから・・・」


俺は、本音を伝えた。


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