ふたりだけのおとぎ話
『17時に駅前の公園に集合!』
その一文しかないメールを見たとき、ため息が漏れた。
送り主は美里だ。元々、美里の紹介で知り合った人だったから、いつもは一緒に帰るのを今日は気まずくて何も言わずに一人で学校を出たのだが、別れたという情報は彼から直接聞いてしまったらしい。
今度はどう言い訳しよう、と考えながら、歩いて公園に向かった。
そういえば彼は大学生だったんだっけ。
学校、バイト、サークルと忙しい毎日の中、私と会う時間を作ってくれたのに、当の私はいつものように受け身だった。まるで遠い記憶のように思い出す。
彼に対してよりも、紹介してくれた美里に対して申し訳なかった。
どうしてあなたは付き合う男の人に対していつもそうなの?
美里にはいつもそう怒られていた。