ふたりだけのおとぎ話


「ねぇ、私の探してる人って、何のこと?」


二人でブランコに腰かけて、夕焼けに照らされた美里の横顔に問いかける。
美里は私の方は見ずに、照れたようにうつむいた。


「あかりはさ、今まで告白してきた人はみんな拒絶しないかわりに、付き合っても誰のことも本気で愛してないでしょ?」


私は何も答えられずに美里の横顔を見つめ続けた。
嫌いではないけど、大好きにもなれない。どの人と付き合っても、それは変わらなかった。
今までの相手が悪かったんだよ!と美里が紹介してくれた人も、結局駄目だった。


「だからさ、あかりは本気で愛せる人を探してるのかなー、なんて」
「本気で?」
「うん。受け身じゃなくてさ、あかりが無意識で惹かれちゃうような人」


そんな人いるのかな。思わず口から出かけた言葉を飲み込む。
美里がここまで真剣に考えてくれているのだから、私も自分を理解しようと努力してみなければと思い直した。


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