DOLL・・・ ~秘密倶楽部~
渋黒のスーツをキッチリ着こなし
黒いサングラスをかけて入り口から
一番遠くの席に座る男は
あたしがもっとも
苦手とするタイプ
男が放つ威圧感は
まるで金縛りのように
あたしの身体を動けなくする
石のようにどんどん
固く重くなっていく足
どうしよう...
怖い...
男の元へ行くことを
躊躇っていると
男がふと顔を上げ
あたしの方を見る
サングラス越しでも十分
伝わる冷たい視線と威圧感
あたしは一瞬で
ここへ来たことを
後悔した
男は「どうぞ」と言うように
持っていたタバコを横に流し
向かいの席へ座るよう促す
あたしはぐっと拳を握りしめ
話だけ...
そう自分に言い聞かせ
動かない足を無理やり前に出し
何とか男の向かいの席に座った
あたしが席に座ると男は
灰皿のフチに煙草を押し当てた
まだ
吸い始めなのに...
気を...
遣ってくれたのかな...
男はすぐに名刺を差し出し
「飯岡です」
そう言い
テーブルの上を滑らせた
「も..森園...
....乙羽です...」
あたしも軽く会釈をし
差し出された名刺を受け取る
名刺を見るあたしを
男がサングラス越しに
ジッと見つめてくる
そして
「合格だ」
男が冷ややかに
そう言い放った
「...合格?」
「ぁぁ」
「ちょっと待って下さい
あたしまだ...
仕事の内容とか何も...」
「内容?
金が要るんだろう?」
「!!」
あれ?
宮ちゃんが事情を
伝えてくれたのかな...
「ココへ来たということは
それなりの覚悟があって
来たはずだ。 違うか?」
そうだけど...
「そ..それでも...
仕事の内容を聞いて
ちゃんと決めたいんです」
「内容ね...
フン、 まぁ、いいだろう」
男は軽く鼻で笑った
「我々が要してるのは
DOLLと呼ばれる玩具だ」
「...ドール?
...玩具?」
まるで子犬のように
小首をかしげる乙羽
「まぁ、簡単に説明すれば
我々の事務所の所属タレントは
ある一定期間、恋愛を
控えてもらっている。
理由はリスクが大きく
デメリットも多いからだ
...とは言っても
人間の感情なんて
他人が簡単にどうこう
できるもんじゃない
若いヤツらが
女日照りにされて
欲求を我慢できるワケもない
そこでだ。
補える感情や
満たせる欲求程度なら
こちらで用意した
「DOLL」というオモチャで
とりあえず、満たして
もらおうという訳だ...」
ぇ...
この人...
何を..言っているの...?
「幸い、我々事務所は
男が多い...
男は愛だの恋だの
七面倒くさい女と違って
生殖本能で生きているから
そこを満たしておけば
まぁ、何とかなるもんだ」
未知の話にあたしの頭は
混乱するばかり...
そんなあたしに構うことなく
男は淡々と話を続ける
黒いサングラスをかけて入り口から
一番遠くの席に座る男は
あたしがもっとも
苦手とするタイプ
男が放つ威圧感は
まるで金縛りのように
あたしの身体を動けなくする
石のようにどんどん
固く重くなっていく足
どうしよう...
怖い...
男の元へ行くことを
躊躇っていると
男がふと顔を上げ
あたしの方を見る
サングラス越しでも十分
伝わる冷たい視線と威圧感
あたしは一瞬で
ここへ来たことを
後悔した
男は「どうぞ」と言うように
持っていたタバコを横に流し
向かいの席へ座るよう促す
あたしはぐっと拳を握りしめ
話だけ...
そう自分に言い聞かせ
動かない足を無理やり前に出し
何とか男の向かいの席に座った
あたしが席に座ると男は
灰皿のフチに煙草を押し当てた
まだ
吸い始めなのに...
気を...
遣ってくれたのかな...
男はすぐに名刺を差し出し
「飯岡です」
そう言い
テーブルの上を滑らせた
「も..森園...
....乙羽です...」
あたしも軽く会釈をし
差し出された名刺を受け取る
名刺を見るあたしを
男がサングラス越しに
ジッと見つめてくる
そして
「合格だ」
男が冷ややかに
そう言い放った
「...合格?」
「ぁぁ」
「ちょっと待って下さい
あたしまだ...
仕事の内容とか何も...」
「内容?
金が要るんだろう?」
「!!」
あれ?
宮ちゃんが事情を
伝えてくれたのかな...
「ココへ来たということは
それなりの覚悟があって
来たはずだ。 違うか?」
そうだけど...
「そ..それでも...
仕事の内容を聞いて
ちゃんと決めたいんです」
「内容ね...
フン、 まぁ、いいだろう」
男は軽く鼻で笑った
「我々が要してるのは
DOLLと呼ばれる玩具だ」
「...ドール?
...玩具?」
まるで子犬のように
小首をかしげる乙羽
「まぁ、簡単に説明すれば
我々の事務所の所属タレントは
ある一定期間、恋愛を
控えてもらっている。
理由はリスクが大きく
デメリットも多いからだ
...とは言っても
人間の感情なんて
他人が簡単にどうこう
できるもんじゃない
若いヤツらが
女日照りにされて
欲求を我慢できるワケもない
そこでだ。
補える感情や
満たせる欲求程度なら
こちらで用意した
「DOLL」というオモチャで
とりあえず、満たして
もらおうという訳だ...」
ぇ...
この人...
何を..言っているの...?
「幸い、我々事務所は
男が多い...
男は愛だの恋だの
七面倒くさい女と違って
生殖本能で生きているから
そこを満たしておけば
まぁ、何とかなるもんだ」
未知の話にあたしの頭は
混乱するばかり...
そんなあたしに構うことなく
男は淡々と話を続ける