DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

「まぁ、考え込むのも
 無理はない...

 だが、お前の選択肢は少ない」


「...」


「お前の兄貴が借金をした所は
 藤田兄弟率いるこの業界じゃ
 意外と名の知れた兄弟で
 一言で言えば「極悪非道」
 彼らに人間としての感情は
 ないと思え
 
 最近、藤田兄の娘が韓国人と
 結婚したことで韓国マフィアとも
 繋がりが深いらしい

 今ではその勢力は
 アジア全土に広がりつつある

 やつらが借金の形に売った女は
 現在、全員消息不明だ
 まぁ、遠い異国の地で
 生きている可能性も
 なきにしもあらずだが
 ほんの一握りだろう...

 やつらについて行くということは
 この世の地獄を見るということだ

 これは脅しじゃない
 
 よってお前の選択肢は3つ
 
 奴らの所へ行くか...
 俺の所に来るか...

 あるいは...
 自らの命を絶つか...

 どちらにせよ
 お前の選択肢は少ない...」



 そんな.....


「どっちにしろ
 地獄を見るんだ
 どちらも地獄なら
 俺の所で少しでも早く
 借金を返済して
 自分の道を歩いた方が
 得策だと思うが...

 ま、強制はしない...」


「........
 
 ....あなたの所に行けば
 本当に借金は
 返済できるんですか?」


「ぁぁ。
 間違いなくな

 誰が為の人生かよく
 考えてから電話しろ」


そう言うと飯岡は
テーブルの端に置かれた
二人分の伝票を持ち席を離れた



『ぁりがとうございました...』


遠くで店員の声と共に
ドア鈴の音がする


あたしはしばらく放心状態で
その場から動くことが
できなかった

どこをどう歩いて帰ったきたのか
気が付くとあたしは
真っ暗な家に一人座り込んでいた


 どうしよう...

 ぁたし..
 どうすれば...


頭は混乱するばかりで何一つ
答えを見い出せない

すると


 .....トワ


ハッとして
辺りを見回す


兄に名前を
呼ばれた気がした


 お兄ちゃん...
 ゴメン...
 きっと、心配してるね
 
 大丈夫だよ...
 あたしが何とかするから
 お兄ちゃんはもう
 何も心配しなくていいよ


母が亡くなり兄は
ずっと、自分を
犠牲にしてきた

今度はあたしが...


時刻はまだ
真夜中だというのに
あたしは携帯電話を握り締めた
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