DOLL・・・ ~秘密倶楽部~
空港に着き
飯岡に指定された場所に行くと
飯岡はすでに到着し
コーヒー片手に
煙草を吸っていた
「...お待たせして
申し訳ありません」
そう言い飯岡の元へ駆け寄ると
やはり飯岡は吸いかけの煙草を
ささっと消してくれた
やっぱり
消してくれるんだ...
そして飯岡が一枚の紙切れを
あたしの前に差し出す
それは
兄が借りた借金の
全額完済証明書
「ぜ、全部...
返したんですか...?」
「返したんじゃない
債権をこちらに
引き継いだまでだ
これからはこちらが
お前の債権回収人となる」
あんな大金...
すぐに用意できるなんて
そして飯岡はもう一枚
紙を差し出し
「これはこれからの
返済計画書だ
これがお前の単価...」
ぇ...
「この容姿に産んでくれた
両親に感謝だな...」
あたしの...
単価.....?
人として...
絶望的な言葉を
聞いた気がした...
だけど...
自分の意志でここにいる今
あたしには飯岡の言葉に腹を
立てる資格もなく
飯岡が言う
その「容姿」で一日も早く
借金を完済しなければいけない
「ほら、ここにサインしろ」
飯岡がペンを差し出す
これでもぅ...
本当に...
戻れない...
ホントニ
コレデイイノ...?
昨日からずっと
同じ「自問自答」を
繰り返している
自分の名前を書きながら
心の中を虚しい風が
吹き抜けて行った