DOLL・・・ ~秘密倶楽部~
「さて、飛行機までは
まだ時間がある...
お前、処女か?」
「は?/// 何ですか///」
「俺の個人的な興味で
聞いてるんじゃないんだ
もし、お前が処女なら
んなもんさっさと捨てて来い
出発までまだ時間はある
捧げたい男がいる..なら...」
「いません!!」
捨ててこい...って...
何? そんな簡単に...///
「そうか...
どの世界でも初物は人気だ」
「...」
どうしよう...
逃げ出してしまいたい...
刻一刻と
現実が押し寄せてくる
この飛行機に乗ったら
あたしは....
生々しい現実に頭をフルフルと動かし
考えないようにしても数分後には再び
同じことを考えてしまう
そんな事を幾度となく
繰り返している内に
「行くぞ」
とうとう飛行機の時間がきてしまい
あたしは飯岡に急かされるように
飛行機に乗り込む
育った街並みを
眼下に見下ろしながら
大きな翼を持った鳥が
あたしを大都会へと運ぶ
たった数時間、大空を
羽ばたいただけで
さっきまであたしがいた場所とは
肌に触れる空気がまるで違う
乾いた空気とキン...と
張りつめるような冷たさが
あたしの頬を撫でる
「荷物はこれだけか?」
いつの間にか飯岡が
あたしのバックを持っている
「ぁ...
自分で持ちます」
荷物を受け取ろうとすると
「...いいから
さっさと歩け」
そう言い飯岡は
さっさと歩き出す
たくさんの人溜まりの中を
縫うように足早に歩く飯岡を
時々、見失いながらあたしは
まるで幼い子供が
父親の背中を追うように
必死で後を追いかけた
そんなあたしのことなど
少しも気にとめる様子のない飯岡は
駐車場に着くとピピッと
キーレスに反応した車に向い歩き出す
飯岡が荷物を車に乗せ終わる頃
ようやく車にたどり着いた
あたしを見て
「何で息が切れてる?
喘息か...?」
ハァ..
ハァ..ハァ...
あたしは恨めしそうに
飯岡を見上げた
そしてそのまま
息を整える間もないまま
車の後部座席に押し込まれると
車はすぐに発進する
全面スモーク張りの窓ガラスに
分厚いカーテン...
外部からの視線を一切
遮断した車内には
男性の物らしきタオルや靴
飲みかけのペッドボトルが
散乱している
どこ...
行くんだろう...
窓の外を流れる
見慣れぬ街や人並み...
決断から、あっという間に
ここまで来てしまったけど
まるで先の見えない自分に
不安と後悔の念が
押し寄せてくる