揺れる心



「ねぇ、名前何て言うの?お母さんは?」

いっぱい遊んだから、そろそろ探しにくる筈なんだけどな……。

そう思って聞いてみたのに。

「………」

無視ですかっ!

「君何て言う名前〜?」

今度は睦輝が聞いてみる。

「えっとねぇ…」

返事したし!
何?私じゃ嫌なわけですかっ?
……まぁ、いいけど。

「名前ねぇ、ない〜」

「えぇっ!!嘘つけぇ!」

今時名前のない子供がどこにいるんだよっ!!?
てか……。
この男の子、すっかりうちらに懐いちゃってるし。
多分、まだ何かくれると思ってるな……。
普通親なら、もう買ってあげたりはしないよな………うん。

「おい、そろそろ行こう!」

睦輝にそう言うと、男の子から離れるために、走り出した………のに。
この子すばしっこいから、すぐ捕まってしまった。

まぁ、その後なんとか逃げて、お母さんらしい人が来てくれたからよかったんだけどね?



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