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「あの、申し上げにくいのですが、響様にもぜひご協力願いたいのですが」
「いいですよ。絵描き終わってしばらくヒマだしぃ」
「なっ、何受けてんだよっ、こんなアヤシイ話っ」
心底驚いたといった顔で、倭が響のほうを向く。
それを響は、あっさりとした口調で返す。
「困ってる人がいたら助けなきゃでしょ?」
と、いとも簡単に言ってのける。
「俺は行かないぞ」
「ドウゾご勝手に。けど、一週間に一度の母さんからの電話、ちゃんと受けてよね?居留守なんか使っちゃダメだよ?」
響が念を押すように倭を茶化すような口振りで言い放つ。
「うっ、それはヤだな・・・。けど、協力っていったい何するんだ?」
「それはこの話を受けてくださってからお話します」
「そりゃそうだろうな。ところで、給料はくれんの?」
倭が不躾な質問をする。それに対し、響が軽く嗜める。
「何、失礼なこと言ってるんだよ」
「んなこと言ったって、俺だって遊んで暮らしてる訳じゃねぇんだから、当然だろう?」
「そのとおりですわ。報酬のことは、私の主人とお話ください。話し合い次第で決まりますので」
「へぇ、じゃあ受けてもいいけど?」
「本当にいいの?そんな安請け合いしちゃって・・・?」
そんな響の小さな独り言は二人の会話にかき消された。