トップシークレット
「走るのキライ。いいよねぇ、倭は。体育だけは得意だもんねぇ」
「体育だけじゃねぇぞ?アレも得意だ。・・・理科もだ」
「何ですぐに言葉が出てこないかなぁ?理科が得意だって言ったって、実験だけでしょ、得意なのは」
手厳しい響のツッコミが入る。
そのやりとりを不思議そうな顔で桜が見つめていた。
「あのう、失礼ですが理科って言うのは何ですか?」
突拍子もない言葉が桜の口から発せられる。
それに対し響は目をしばたかせる。
「・・・理科知らないの?」
恐る恐る響が尋ねる。
桜の答えは、イエス。
大きなため息を響がつく。
この時代、定かではないが、現代の日本より文明は遅れているようだ。
なにせ山賊が出る時代である。
それにさっきから車が一台も走っているところを見ていない。
理科がなんなのか説明するのはかなり難しい。
「理科って言うのは・・・・」
響が話し出すと長い。
そこに横やりを入れたのは倭だ。
「早く行くんじゃなかったのか?オモシロ山賊が出て大変なコトになるんだろ?」
「はっ、そうでした。走りましょう」
響がものすごくいやな顔をしていたが二人はそれを無視して、軽い準備運動を始めていた。
仕方ないので、響もそれにならう。
辺りはもうすぐ闇に染まろうとしている。
果たして間に合うのだろうか?