トップシークレット
「用意ドン!!」
一番やる気のない響が勝手にスタートの合図をかける。
響がどんどん小さくなろうとしている。それを見て、倭が気づく。
「アイツ、どうしてあそこまでして、一位になりたいんだ?」
そう疑問に思いながらも軽く走り出す。そして、今まで忘れていたといわんばかりに振り返り桜に声をかける。
「早くしねぇと置いてくぞ。アイツも意外と早いから。ぜってぇ追い抜いてやる」
そう意気込んで倭が走り出す。一人桜は置いていかれた。
その事実が無性に淋しくなった。だから、桜も二人を追って走り出した。
響は遥か遠くだし、倭もそろそろ小さくなり始めた。その後を桜は必死に追う。
さすがに倭は自分で言うだけあって、足が速い。響は倭と比べると体力がなさそうに見えたが、倭に引けをとらず速い。
その二人を桜は今自分の持っているの力全てを使って追う。そうでなければ本当に置いていかれてしまうのだ。
一行が目的の場所に着いたのはその騒動から二十分ほど後のことだった。