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「大丈夫ですよ。ここには知り合いがいますから。そこに泊めてもらいましょう」
未だに、はぁはぁ、と肩で息をしている桜が答える。相当辛かったらしい。
その桜が大通りを横切り、路地の一角へと滑り込んでいく。暗くてよく見えない。ここまででも迷子になりそうだ。
狭い上に入り組んでいる。絶対に一人で歩けない、そう思ったのが倭であることは言うまでもない。
その間にも、桜はどんどん前へと進んでいく。
真っ暗な闇の中で、二人は追うのに必死だ。
もしも桜が白の上着ではなく、黒の上着であったなら二人はすぐに桜を見失っていただろう。