トップシークレット
すると突然、謎の人物が桜に近寄り・・・。
「こんだ夜更けに、なにやってんだぁ?」
と、間の抜けた問いがかけられた。
その問いかけに、二人の兄弟は唖然とする。
しかし桜はというと、何もなかったかのように、平然と二の句を告ぐ。
「あ、その声はピエールおじさんですか?お久しぶりです。今日お伺いすると、手紙を出したはずなんですが・・・届いていませんか?」
桜がそう問いかけると、謎の人物・ピエールおじさんはすぐに返事を返した。
「オラんとこには来てねぇだよ?誰かん家間違って届けられたんでねぇか?」
「そうですか。その話は置いておいて、とにかく今日部屋は空いていますか?この二人を泊めてもらいたいのですが」
「一つだけなら空いてるべ?しっかし、桜ちゃんはどうするべ?」
「お気遣いなさらずに。私は同室でもかまいませんから」
「んでも、やっぱり・・・オラの母ちゃんと一緒でもいいだべか?」
「いえいえ、そんなことはお気になさらずに」
「そうだかぁ?」
そんな話をしながら、ピエールおじさんはドアの鍵を開けて奥へ入っていく。
倭と響は互いの顔を見合わせて、追うべきか留まるべきか互いに問う。
しかし、こんな所にいても仕方がないと思い、桜とピエールおじさんを追うことにした。
入ったところは、あまり宿と呼べないような造りだった。
壁はコンクリートのようなモノで出来ているような感じだが、所どころ剥がれ落ちていた。
途中、食堂のような広いところに出たが、テーブルらしきものは一つしか見当たらなかった。