短編置き場・2
(ちゃんと君だって死んでるじゃん)

男が遠く目を凝らす。

棺おけの海には、ここと同じような緑の島がいくつか浮かんでいる。背の低い木がはえている島もあれば、そうでないのもある。

ただ、そのどれにも、人はおろか生き物一匹見えない。

(それでも、空はずいぶん青くなったな)

男はひとつため息をついて、芝生に寝転がり天を仰いだ。

空の青の中に一点、黒いものが浮かんでいるのに、男は気づいた。

それは甲高い鳴き声をここにまで響かせた。

(ひばり・・・)

そう思った瞬間、男は眠りに捕らえられ、闇へ落ちていった。


      おわり
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