短編置き場・2
この島の温厚な村長は、島民たちの勢いに肝をつぶしながらも、なんとか必死に彼らをなだめた。

「みんな、落ち着いて。このワンちゃんも、いちおう医師免許は持っているみたいだし、なによりお利口さんじゃないか」

村長に頭をなでられながら、犬はうれしそうに尻尾を振った。

「島のみなさんのご不満はわかります。ですが、私はこれでも大学病院での勤務歴もある雑種犬なのです。雑種犬のロミオです、よろしく」

ロミオは丁寧に挨拶し、島民たちにお手をした。

納得はできなかったが、島民たちは村長を困らせたくはなかったし、犬も賢く愛らしかったので、当面様子をみることにした。

< 16 / 41 >

この作品をシェア

pagetop