短編置き場・2
「俺は今のままでいいですよ。別に困ってないですし」

「頼もしいね。じゃ、明日もあるんだから、無理せず早めに切り上げてね。お疲れ様」

意識したわけではない。

しかし、俺は何かに突き動かされるように立ち上がり、副署長の背中に疑問をぶつけた。

「副署長。もっと、なにかいい解決方法があるのではないでしょうか。なにか、間違っているのではないでしょうか」

「秋月君・・・歴史の教科書を見てごらん。我々はここまで来てしまっているんだよ。いったいどこまで戻ればやり直せると思う?難しいことは考えず、目の前の仕事を淡々とこなす方が無難だと思うがね。君にとっても、私にとっても」

副署長は部屋を出て行った。

テーブルの上で缶コーヒーが小さな湯気を立てている。

それは今の俺の生活の中で、小さな小さなひとつの句読点になっていた。

俺は残りのコーヒーを飲み干し、部屋を出た。

明日も、仕事があるのだ。


    おわり
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