黒い風船
「ただいまーっ」
私は息を弾ませながら家に入り、部屋の扉までそうっと近付いた。
このドアを開けると、パパとママが『おめでとう』と、クラッカーを鳴らしてくれる。
ドキドキしながら、ドアノブを握ったそのときだった。
激しい罵声が聞こえた。
「もう少し待ってくれたってよかったのによぉ!!そしたら美奈子は死ななかったのによぉ!!あんた、サイテーだよ!!」
そして、鈍い音。
パパのうめき声。
なに…?
「あんたのせいだよ…、あんたのせいで、美奈子は死んだんだよおぉっ!!!」
鈍い音と、うめき声、ヤな臭い。