黒い風船
ここがどこだか分らない。
当たり前、適当に走ってきたんだもん。
家がいっぱい並んでいる住宅街に飛び込んで、
綺麗な家のチャイムを連打した。
ピンポンピンポン…
だれも出てきてくれない。
私は隣の家の塀の中に入り、チャイム連打を繰り返した。
ドアをドンドンと拳で叩く。
「助けて…!だれか…!」
うっとうしそうな顔をして、出てきてくれたのは不精ひげの生えたオジサンだった。
「ケーサツ!!警察!!パパが死んじゃう!!」
オジサンは救急車を先に呼んでくれた。