黒い風船
合コン
「サガ、何ぼーっとしてんのさ?もうすぐ男の子くるよ?」
視界いっぱいに、ユリの顔が見えて、びくりと肩を震わした。
「…ごめん」
あわてて髪を手ぐしで整える。
「メイクしなくていいの?」
ユリが余計なお節介を焼く。
うっせぇんだよ。
「いいの」
と言って、こめかみに手をあてた。
頭痛い。また昔のこと考えちゃったよ。
学生であふれかえる喫茶店。
目の前のアイスティーは、思った以上にまずかった。
一口、飲んだっきり。
もうほとんど氷がとけちまった。