オリジナル・レイズ
「違うんだよな?」
私の目を見据えて、全くんは問う。
「残念だけど違うよ」
私も全くんの目を見て、はっきりと言った。
一瞬、全くんの表情が暗くなったように見えたが、
「そうだよな!そんなことあるわけねぇよな」
と、笑って言ってくれた。
全くんは、私が初恋の人に似てるから、何でも話せるんだね。
だから
抱きしめたりキスしたりしたんだ。
それでもいいよ
今までのことはそれでいいから
どうか
これからは
私のことを見てね。
いずれ私にも
消えてしまう日が来るから…
彼女に代わって
これからは
私が命をかけて全くんを守るよ
一緒に頑張ろうね。
眠りに入った全くんの手を、私は握りしめた。