オリジナル・レイズ
「ね、看護婦さんとかお母さん、早く帰りなさいって言わなかったの?先生も、よくコレ貸してくれたね」
「母親はちょっとうるさかったけど…。いいんだよ、俺がやりたい事だから」
レンズから目を離し、全くんは答えた。
「俺、結構元気だぜ。心配すんな」
笑顔の全くん。
…心配だよ。
だって、好きな人の体だもの。
「あーあ、こうやってただ星を見ているだけでもいいんだけどさ…なんかこう、ちゃんと何か残していけたらいいのにな」
「残す?」
「俺が生きてる証、みたいな」
全くんの横顔は、寂しげだった。
…生きている証…
それは私だって、ずっと手に入れたかったもの。
その時ふと、膨張を続けている自分の本来の姿が気になった。
最近ずっと見ていない。
「ねぇ、この前見た赤い星…どうなってる?」
不安になり、全くんに訊ねる。