オリジナル・レイズ
“あの星も”死んじゃう…
全くんの言葉が一瞬引っかかったが、それと同時に私はひらめいた。
「ねえ、部活やってないなら天文学部やりなよ!そうすれば、毎晩こうしていることを形に残せるよ」
「天文学部かぁ…この学校にはないんだよな」
そう言うと、全くんは芝生の上に腰をおろした。
つられて私も座り込む。
二人で、並んで夜空を見上げた。
私達は、今まで幾度となくこうして並んで夜空を見てきた。
初めて会った夜も
私を助けてくれた海岸でも。
私が全くんに会えるのは夜だけだから、二人で夜空を眺めることは、当たり前のように思えた時もあった。
でも、二人ここにこうして居る事は奇跡なんだ。
私が人間になりたいって思わなかったら…
全くんが私を見つけていなかったら…
渡先生が天体望遠鏡を持っていなかったら…
全くんの初恋の相手が、星になって見守っていると言い残して死んでいなかったら…
私達は、出逢ってもいなかったんだ。
――不思議だね。
宇宙に星は無限に存在して、地球上にだって男の人は何億人と居るのに…
どうして私達が出逢ったんだろう。
まるで選ばれて、巡り逢わされたみたいに。