オリジナル・レイズ

「今夜も暑いな」


渡先生が私に言う。


「あの星を発見したのは君だって言うのは、本当かい」


…どういう意味?
私は何も答えずに、全くんの方を見た。

全くんは困ったように話す。


「星がこんな速度で滅んでいくのは前代未聞だから、発表したらどうだって先生が…」


…発表??


「高遠の名前でも、君の名前でもいい。これはすごい発見だよ。売れると思うけどね」



売れる?


その言葉に私は即座に反応した。


「・・・お金ですか?」


「いや、そういう意味じゃなくて・・・」


渡先生が何か言おうとしたようだったが、私はそれを遮り立ち上がった。


「珍しい死に方をしてたら、世界中に晒して、死んでいく本人の気持ちはどうでもいいの?死んでく姿を売るってどういうこと?なんでそんなことができんの!?」


< 107 / 220 >

この作品をシェア

pagetop