オリジナル・レイズ
…全くんが
あの星を誰にも見つけて欲しくないって…
思ってくれた…
渡先生はちゃんと、私たちのことを考えててくれた。
誰にも渡したくないなら、自分の物だって発表しちゃえって…
全くんにそっと助言してくれたんだ。
全くんの体のことを知っていながら、夜間の活動を許可してくれた。
天文学部の部員は一人なのに…
二人でよく見ておきなさいって言ってくれた。
先生、ありがとう。
全くんはカバンからノートやカメラを出し、広げながら言った。
「この星と、俺の生きてる証と…ツバサがここにいる証、これから毎晩残していこう」
全くんが、私にそっと笑いかける。
私も答えるように、笑顔で強く頷いた。
真夏の夜空の下、散らばるような星座に見守られながら
天文学部の活動が始まった。