オリジナル・レイズ
「星が人に恋するように…花も人に恋したりするのかな?」
そっと花に触れながら紫陽花に呟く。
しかし、この花は装飾花…
本当の花の部分は、小さすぎて目立たない。
花びらのように見える部分は萼なのだ。
紫陽花の美しさに心奪われる人は数あれど、本当の花を美しいと言ってくれる人はどれだけ居るのだろう。
紫陽花という花の、花としての真の姿を見てくれる人はどれだけ居るのだろう。
…寂しくないのかな。
装飾花ばかりを人は褒める。
本当の花には気づきもせずに。
もし、この紫陽花も恋をしていたら…
本当の私はここだよ。どうか見つけて…って、強く願ったりするのだろうか。
もうじき死を迎えようとしている星のように、思うのだろうか。
「本当の私は、ここにいるよ…」
全くんが一生懸命追っている星はここにいるよ。
こんなに近くに居て、あなたのことを見守っているよ。