オリジナル・レイズ

“全くんは悪くない”
そう言いたいのに、言葉が見つからない。


「俺のせいで、母さんまでHIVになったら…」


拭っていた手を握りしめ、下を向いたままの全くん。

その拳は震えていた。



私は駆け寄ろうとした。


だってそんな、全くんのお母さんが風俗や援助交際なんて…

間違いかもしれないじゃない。



そう言おうとしたのだ。




その時、目に飛び込んできたもの。



手書きのメッセージが書かれた一枚のカード。




ベッドのそばの机の上に、埃や足跡にまみれた状態で置いてある。

この近くに落ちていて、全くんが拾ったのだろうと、安易に想像がつく。


ふと、メッセージに目をやった。



【はじめまして♪こんなに優しく舐めてくれる人、初めて・・・いっぱい濡れちゃってごめんネ。次はもっと奥まで・・・】



思わずカードを伏せる。

何??コレ…


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