オリジナル・レイズ
淫らな文字が連なる手書きのメッセージ。
その下には、他の誰かの字で携帯番号が書いてある。
【連絡待ってる】の文字と一緒に。
全くんは、下を向いたまま震えている。
泣いてる…?
私、どうしたらいい?
どうしたら全くんを笑顔にしてあげられるの?
私の命が尽きるまで、全くんを守りたい。
カードを握りしめ、私は病室を飛び出した。
カードには店の名前と場所も書いてある。
風俗店の名刺だろう。
出勤予定も書いてある。
今日のこの時間、まだ全くんのお母さんは店に居る。
店に行ってどうするの?
仕事辞めて下さいって言うの?
じゃあ全くんの治療費は?
そもそも私が踏み込んでいい問題なの??
そんなの考えていられなかった。
ただ、全くんのお母さんに今すぐ会わなきゃいけないと思った。