オリジナル・レイズ
「…あまり、頑張りすぎるなよ」
私は、ふと先生の方を見る。
先生はこちらを見ていなかった。
ハンドルに手をかけたままの横顔。
「…ありがとうございます」
何と答えたらいいか分からず、とりあえず再度お礼を言って車を降りた。
何故か変な気持ちになり、思わず走り出す。
ドキドキでもモヤモヤでもない、変な気持ち。
初めて先生と会ったときは、おじさんとお兄さんの中間くらいの人とだけ思っていた。
いわゆる、フツーの人だと思ってた。
でも…本人がわざと崩しているのだろうか?
実際はとても綺麗な顔をしている。
童顔でまだ15歳の全くんと並ぶと、どちらかと言うとおじさんのような気がしていたが、まだとても若く見える。
優しいし、きっと学校でも人気のある先生なんだろうな。
全くんも実際、慕っている様子だったし。