オリジナル・レイズ

しかしその男性の腕を、別の人が掴んだ。


「この子は、お店の子じゃありませんよ」


静かに優しく、中年男性を制する。



酔っ払いの男性は、ありゃ~そうでしたかと素直に従い、去っていった。

暴力も暴言も使わない、
まさに血を流さない勝利。



私はあっけにとられていたが、我に返って助けてくれた人の顔を見た。




「…渡先生…」




先生が、助けてくれたのだ。
でもどうして…?



「夜の街に女の子一人放り出すような男じゃないよ、先生は」




・・・・・・・


心配して、ついてきてくれたの?

それも、


一緒に行くって言っても、私が断ることを最初から知ってて…

黙って見守っていてくれた…


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