オリジナル・レイズ
「…すみません、迷惑かけて…」
「こっちこそ、こんなタイミングで登場したら、やりにくいよな。ごめんね」
先生は優しく言った。
いつもこの人は、落ち着いてすべてを見通している。
私のことも全くんのことも…
そんな気がした。
気づいたら私は、先生にカードを渡し、すべてを話していた。
全くんのお母さんが、治療にかかるお金のために風俗や援助交際をしてるらしいということ。
それを知っている全くんが、自分を責めて苦しんでいること。
そして、辞めてしまえば全くんの闘病費が払えなくなる事実…
黙っているつもりだったのに。
先生に話したと知ったら、全くんは傷つくだろうか。
でも、私一人で抱えていて解決する問題でもなかったから…。