オリジナル・レイズ
思わず駆け寄ろうとした私の腕を、先生は立ち上がって引き止めた。
何も言わずに、首を横に振る先生。
「…どうして!?」
全くん、泣いてたよ。
全くんを傷つけないで。
せめて、全くんがこの事実に気づいている事だけでも伝えたい。
苦しんでるんだよって…
それでも、先生は腕を離してくれなかった。
その時、車に乗ろうとしていた全くんのお母さんと目が合った。
私と、先生と、全くんのお母さんの動きが一瞬止まる。
その隙に私は腕を振り切り、全くんのお母さんのもとへ走った。
例のカードを握りしめて…