オリジナル・レイズ
…本当は、全くんのお母さんのことを引っ叩いてやろうと思ってた。
その為にここに来たのだ
この前、私が病院で彼女にされたみたいに。
一瞬、私は彼女に向かって本気で右手を振り上げた。
どうしてそこまで、体を売ることを肯定するの?
子供の為に、親が体でお金を稼ぐことは正解なの?
あなたは勘違いしてる。
あなたの息子はそんな事ちっとも望んでいない。
いい加減、全くんの気持ちに気づいてよ。
――でも、
私は振り上げた右手を下ろせなかった。
その手は震えたまま、固まってしまった。
すると、振り上げた右手は、後ろから大きな左手で優しく掴まれた。
「…渡です。すみませんでした。もちろん、この事は一切口外しませんので…」
深々と頭を下げる先生。