オリジナル・レイズ
『親が子供のために、命を賭けるのは当たり前』…
先生がさっき言っていた言葉が、頭をよぎる。
わかってないのは、私の方だった。
自分が恥ずかしい…
先生が車を止めたパーキングエリアには、自動販売機があった。
「コーヒー飲める?ジュースがいい?」
顔がぐずぐずだったので答えられずに居ると、先生は私にさっとグレーのハンカチを渡してくれ、缶のオレンジジュースとコーヒーの両方を買ってくれた。
ピッ
ガコン
「ん??」
落ちてきた缶を取ろうと屈み込んだ先生が、変な顔をしている。
【つめた~い】のボタンを確かに押したはずなのに…
出てきたのは、生ぬるいコーヒーとオレンジジュース。
夜風さえ涼しくないこの季節だ。
自販機に入れたばかりで、冷えていなかったのだろうか。