オリジナル・レイズ
「あ、目ェ覚めた?」
「え?…」
満点の星空。
それを覆い隠すように、男の子が駆け寄ってきて私の顔を覗き込む。
「この中庭に倒れてたんだよ。貧血か?どうしたらいいかわからなくて、でも良かった」
男の子は安心したように話した。
この優しい瞳に、私は見覚えがある。
手をついて、私はゆっくり起き上がった。
柔らかい芝の感触が、手のひら全体に伝わる。
生まれて初めての感触。
かすかに風が吹いている。
草の香りがする初夏の風。
――もう一度、空を見上げる。
星だった頃に眺めていた景色が、
あんなに遠くに見える。
でも、あそこに広がるのは、確かに宇宙なんだ。
私が居た場所なんだ。
この場所から、この人は私を…