オリジナル・レイズ
【空追い花】
先日の入院は、ただの検査入院なのだと本人は言った。
中庭に戻ってきてくれた全くん。
帰ってきた彼は…、
車椅子だった。
あれだけ、うちの息子に近づくなと言っていた全くんのお母さんが
夏休み中の、しかも夜に学校へ向かうのを毎晩許していた事を、
この時の私はよくわかっていなかった。
ただわかるのは…
全くんの体が刻々と弱ってきていること。
それから、
赤かったあの星がどんどん白くなっていっていること。
二人して、
このまま死んでしまうのかな?
そう考えた日もあった。
でも、全くんだけは絶対に死なせない。
死なせるわけにはいかない。