オリジナル・レイズ
「・・・・・。全…」
「よくさ、種抜いた後の穴で絵描いたよな。うまく星型に穴ができるように、種ぬいてさ…」
「――全くん」
ふっと全くんの視線が私に向く。
全くんは何も言わない。
どうしよう
足が震える
全くん一体どうしたの?
「…あのさ、先生にも食べさせてあげようよ…」
私はそれだけ言い残し、無我夢中で明かりがついている職員室へ走った。
中庭と職員室は、ガラス戸1枚で繋がっている。
職員室からいつでも中庭に出ることができる。
明かりのついた職員室に、いるのは渡先生一人だけだ。
ガラス戸へ駆け寄った私を、先生はすぐに見つけてくれた。
「…どうした?」
「・・・・・・・・・」
口元が震えて、声が出ない。