オリジナル・レイズ
初めて全くんが病院へ運ばれた夜のことを思い出し、目の前が真っ暗になった。
今回も、全くんは私のせいで血を流すことになった…
私が目を離したばっかりに――
先生は携帯を取り出し、電話しながらどこかへ行ってしまった。
私は震えの止まらない体で、無意識に全くんに話しかけていた。
「ねえ、どうして…?どうしてこういうことするの?全くん、生きてるじゃない。死ぬって決まった訳じゃないじゃない。なんで、こんなこと…」
「…生易しいこと、言うなよ。もう、決まっているだろうが。
…どうせ俺は死ぬんだ。だったら少しでも早いほうがいいじゃないか」
「早いほうがいい?…なんで、そんなこと言えるの?みんな、必死に全くんのこと…」
「――周りが必死になってるのが辛いから、早く死にたいんだ!!」
全くんは突然声を張り上げた。
「お母さんの、こと…?」
私が訊ねると、全くんはぎゅっと目をつむり両手で頭を抱え下を向いた。
手首の傷から血がつうと流れ、肘まで線を描く。
髪にも、たくさんの血が付着した。
「…もう、まっぴらなんだ…」