オリジナル・レイズ
治療中のランプはまだ消えない。
「大丈夫だよ。ツバサちゃん」
ベンチに腰掛けると、先生はそっと手を握ってくれた。
先生は、私のことをツバサちゃんて呼ぶ。
私も、先生のことは先生て呼ぶ。
気を遣ってくれているんだ。
私が全くんに名乗り出るまで、黙っていようって。
…先生、ありがとう。
先生が私に教えてくれた。
生きている事の尊さ。
生きるってことは奇跡なんだってこと。
必ず、全くんに伝えてみせるからね。
ねえ
星になった私をずっと見つめていたなんて
全くん
まるで目で太陽を追う向日葵みたいだね。
全くんがもう一度顔を上げてくれなら、
私は太陽にだって何にだってなってみせる。
…全くん、
私の声は届いてますか?…