オリジナル・レイズ

「生きている証かぁ」

先生は夜空を見上げて言った。


…本当はそれだけじゃない。

全くんに、あの星の最期を見ていて欲しかった。

私のことを、最後の最後まで全くんに見つめていて欲しかったから。


せっかく見つけてもらえたのに、目を逸らされるのが怖かった――




「…先生…」


「ん?」


「私と全くんが見つけた、あの赤い星…もう白くなって、随分小さくなりました。
この速さでいくと、あの星が死ぬのはいつ頃だと思いますか?」


「ん?んー…そうだな、爆発する星と違って徐々に冷えていく星だから…細かくは確定できないけど」


先生は少し考え、結論を出した。


「まあ、惑星状星雲になったらそろそろだと思うんだが。星の周りにガスは見えたか?」


「私は見てないんです。でも、全くんは何も言っていませんでした」


「じゃあこれから、ガスが宇宙に広がっていくとして…今年の冬か、長くて年明けくらいかな」



今年の冬…


私の表情が、一瞬変わったことに気づいたのだろう。

先生が訊ねる。


「なんで、そんなこと訊くんだ?」


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