オリジナル・レイズ
「全くんが言ってました。あの星ももうじき死んじゃうんだろ?って。だからあの星にも、今まで生きてきた証を残してやりたいって。
それで思いついたんです。天文学部として活動すれば、あの星の記録を全くんの手で残せる」
「…そうだったのか」
先生は深く頷いた。
「あの星は他の誰にも見つけさせたくないって言ってたし、高遠は相当あの星が好きなんだな」
私の方を見て、にっこりと笑う先生。
私はなんだか照れてしまい、ぎこちない笑い方で返した。
先生の余裕の笑顔が少し悔しい。
でも、
悔しいくせに、心がぽかぽかする。
冷たく冷えたジュースを一気に喉に流し込むと、爽やかな甘酸っぱい香りが体中に染み渡った。
「ツバサちゃん」
一気飲みする私を横目に、先生が話しかける。
「言っただろう?『二人で』よく見ておきなさいって。一人でも残っていれば、天文学部はまだ活動できる。顧問だっているからな」