オリジナル・レイズ

・・・・・??

え…?
何かおかしい。

先生が病院で話してくれた内容と少し違う。


どこか覚えのある話だと思って聞いていたけど、
そういえば私は、そこまではっきりと思い出したわけではなかった。


私、外国へ渡った時はまだおなかの中にいたの?


ここから先は、何だか見てはいけないような気がする。

高鳴る心臓の音が、危険信号を発している気がした。



しかし私は、震える手でページをめくらずにはいられなかった。



【晴一へ
母さんは今、病院に勤めています。ボランティアだけじゃ、ハルの妹を育ててあげられないものね。母さんは看護婦さんなのよ。…】



アルバムを持つ手に、汗が滲む。

漠然とした嫌な予感が、全身を覆う。



【晴一へ
…2歳になった子供みんなにやる予防接種、母さんが担当したの。ハルの妹にも、母さんがしたからね。ハルも、いっぱい勉強して資格をたくさん…】




・・・・・・

アルバムが、手をすり抜けて床に落ちた。


汗で湿った手は、まだ震えている。


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