オリジナル・レイズ

「…ツバサちゃん…」

そっと肩に手をかける先生を、私は思い切り振り払った。


「先生の嘘つき!!なんで黙ってたの!?私の病気の原因が…お母さんのせいだったって…
お母さんは何も教えてくれなかったよ!!みんなして、私のこと騙して…みんな…」


感情が高ぶっていたせいで、涙が止めどなく溢れ出してきた。

だってそれじゃ、全くんがああなったのはそもそも私のお母さんが原因じゃない。


止まらない涙のせいで言葉が詰まると、先生は冷静に口を開いた。



「先生の妹は10年前に亡くなった。原因をどうこう並べたって、その事実は変わりはしない。君は、原因を突き止めたところでどうするつもりだ?」


「・・・・・・・・」


「それに君こそ、先生に内緒にしている事があるんじゃないのか」



先生は冷静だ。

私が興奮して、私の病気とかお母さんとか口に出してしまったのに…



私は返答に困り、視線を床に落とした。

床に散らばった数々の写真。

お父さんとお母さんと、まだ幼いハル兄の写真。

そこに、妹らしき女の子の写真は混ざってはいなかった。


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