オリジナル・レイズ
「…それは…」
言葉が返せない。
当たり前だ。
私はこの街に援助交際の為だけに来たのだから。
「図星だね。その様子だと今夜が初でしょ。言っとくけどね、うちは本当にもうしてないよ。マミコは…どうだか知らんけど」
「やめた?…なんで?だってお金のためにやってたんでしょ?一度やっちゃえば、2回も100回も同じなんじゃないの?」
冷静に語るアケミに、私はつい本気で疑問を投げかけてしまった。
アケミは静かに答えてくれた。
「2回も100回も同じだよ。でも、やった所で何も残らない事に気づいた。お金も結局すぐなくなるし。エイズじゃなくたって、ビョーキ持ちのオヤジも居るし。
稼げるからこそ…失う物の方が多いかもしれない」
私も、マミコも一緒になってアケミの話を真剣に聞いた。
「それに援助や風俗って、絶対バックにヤクザ絡んでるから。管轄してんだよ。
いつだったか呼び止められてさ…マジ怖かったし。見ない顔だね?とか言われて」
「え~!ヤクザ!!」
つけまつげバチバチの目を、更に大きく見開くマミコ。
感情表現豊かなマミコに対し、冷静で大人びたアケミは淡々と続ける。